YASUDA YASUYUKI
水彩画スケッチ紀行
近代名建築物語 05
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旧長浜駅舎 水彩スケッチ 2012年 ポストカードサイズ120X180 mm
「安田泰幸-街旅絵日記講座」の3月は湖北の長浜へのスケッチ小旅行を計画した。ところが実施予定の日は前日の天気予報で50%以上の確率で雨。風も強いというので、講座始まって以来初めて延期にした。さて1ヶ月後の4月のその日は、前日から京阪神でも風が強く、当日は終日雨の予報で、やむなく再度延期。1ヶ月後の5月、やっと実施できた。神戸・大阪・京都から同じ列車に乗り合わせて、午前10時半に長浜駅に到着。空は青空も見えるが、急に雲が出てきたり、強い風が吹いたりと、不安定。とにかく一つ目のスケッチを鉄道記念物として知られている旧長浜駅舎で描いた。 2012/8/31記
雨の通天閣 大阪新世界 2012年 水彩スケッチ 382x282 mm
大阪の新世界と通天閣が今月、100周年を迎え、話題になっている。明治の終りにルナパークとして歓楽街ができ、パリの凱旋門の上にエッフェル塔を乗せたような初代の通天閣は、高さ75m。当時東洋一と謳われた。戦争中に火災で初代の通天閣が失われた後、戦後の1956年、地元の商店主たちの力で、今の2代目通天閣が再建された。けばけばしい看板があふれる街は、大阪らしい庶民性と昭和レトロの雰囲気が受け入れられ、串カツ・たこ焼きなどの文化も面白がられて、かつては考えられなかった若者や女性グループの観光客が増えている。国の有形文化財に登録されている。今月末には「新世界100年まつり」のイベントも開催されるらしい。朝日カルチャーセンターの「安田泰幸街旅スケッチ」講座の1月は大阪の新世界の通天閣を描いた。この日は雨が降り、風も強い寒い日であったが、皆さん震えながら、かじかむ手で力作を描いておられた。講評会は通天閣下の串カツ屋で。 2012/7/27記
文椿ビルヂング 京都室町通 2009年 水彩スケッチ ポストカードサイズ165x120 mm
関西経済連合会発行の「経済人」7月号の<スケッチ紀行歴史を歩く>は、京都室町通をとりあげた。5枚目のスケッチは三条烏丸に近い、文椿ビルヂング。大正時代に建てられた貿易会社のビルで、小ぶりだが重厚な構えのレトロな近代建築。国の登録有形文財。中は再生されて、ギャラリーやカフェ、ファッション・雑貨の店が入り、高感度の若い人たちが出入するスポットになっている。 2012/7/24記
■関西経済連合会刊行「経済人」2012年7月号表紙に掲載
旧明倫小学校 京都室町通 2012年 水彩スケッチ ポストカードサイズ165x120 mm
関西経済連合会発行の「経済人」7月号の<スケッチ紀行歴史を歩く>は、京都室町通をとりあげた。4枚目のスケッチは京都芸術センター。江戸時代、商人の子弟の教育をになった明倫舎の跡地に町衆の力でできた明倫小学が、統廃合で廃校になったあと立派な校舎を利用して、芸術に関する情報発信や芸術活動支援の拠点として、近年オープンした。建物は昭和の初めに建てられたもので、随所に凝った意匠がほどこしてあり、国の有形文化財として登録されている。
2012/7/24記
■関西経済連合会刊行「経済人」2012年7月号表紙に掲載
紅塵荘 神戸 2012年 水彩スケッチ ポストカードサイズ 120x165 mm
関西経済連合会発行の「経済人」5月号は、神戸の灘・葺合をとりあげた。昨日掲載した、池長孟が南蛮美術のコレクションをおさめた旧池長美術館と同じ時期に建てられた彼の邸宅が近くに残っている。靄にかすむ海に面した阪神間の街を望むところから「紅塵荘」と名づけられた邸宅は、大学卒のサラリーマンの月給が50円ほどだった当時、16万円をかけて建てられたという。設計は池長美術館と同じ小川安一郎。映画評論家の淀川長治の姉富子を妻に迎え、彼女の希望で大きなダンスホールまでつくらせたとか。建物は現在、病院の一部として使用されている。夕方、引きのない狭い道をはさんだ、向かいの病院の壁にへばりついてスケッチしていたら、白衣の医師が出てこられて、しばらくこの邸とこのあたりの街について話されたあと、この建物を案内してくださった。時を経た豪華な意匠は家産を傾けてまで芸術や華やかな文化を愛した池長の一代の想いがこもっているようであった。 2012/6/21記
■関西経済連合会刊「経済人」2012年5月号表紙に掲載 ■著書「神戸街角ものがたり」に所収
旧南蛮美術館 神戸市文書館 2012年 水彩スケッチ ポストカードサイズ 120x165 mm
関西経済連合会発行の「経済人」5月号は、神戸の灘・葺合をとりあげた。新神戸駅から東に少し行くと、窓のグリルに南蛮船をかたどった装飾がある近代建築がある。神戸の資産家池永孟が蒐集した、江戸時代の南蛮美術のコレクションを展示するため、昭和のはじめに建てられた私設の池永美術館である。彼は家財を傾け、4,500点もの美術品を集めた。南蛮船を描いた「南蛮屏風」や、教科書でおなじみの「ザビエル像」、江戸時代に描かれた世界地図や織田信長像など、数多くの国の重要文化財も含まれている。戦後、これらのコレクションと美術館は神戸市に寄贈され、市立南蛮美術館として使用されていたが、現在、コレクションは神戸市立博物館へ収められ、建物は神戸市文書館になっている。建物の設計は小川安一郎。青ざめたタイルのアールデコ調のデザインが魅力的な歴史的建造物である。 2012/6/18記
■関西経済連合会刊「経済人」2012年5月号表紙に掲載
新宿御苑旧洋館御休所 2012年 水彩 165 x 240 mm
クラブ・ツーリズムの「旅のスケッチブック」の東京での講座は3月の末に行われた。集まった受講者の方は、すべて初めてお会いする人ばかり。中にはこの講座を受講するために泊りがけで山形からかけつけてくださった方もいて、感激。午前中は室内で、レトロな建築の風景スケッチについて、今までの作品を使って講義。午後、演習として、クラブ・ツーリズムの会場に近い新宿御苑の洋風建築を描きに行った。御苑にはいくつかのレトロな建物があるが、そのなかで重要文化財に指定されている洋館を描くことに。みなさん少し緊張したような面持ちでスケッチブックに向かっておられたが、2時間ほどでそれぞれ個性的な作品が仕上がった。この日は快晴のポカポカ陽気で、苑内には芝生で憩う人や、散策する人で賑わっていた。 2012/5/23記
京都ハリストス正教会生神女福音聖堂 水彩 165 x 240 mm
近畿地区信用金庫協会発行の季刊誌「いこい」の春号は、京都のハリストス正教会の聖堂のスケッチが掲載された。1901年に建てられた木造のロシアビザンチン様式の歴史的建造物。設計は京都府庁旧本館を設計した松室重光。全国にある日本正教会のビザンチン様式の木造聖堂の中でも最も古いものだそうだ。ここも何回か描いているが、一昨年の秋には、街・旅・絵日記の講座でこの聖堂を描いた。 2012/5/21記
■近畿地区信用金庫協会発行「いこい」2012年春号に掲載
京都岡崎 府立図書館 2012年 水彩 280 x 380 mm
カルチャーハウス香里ヶ丘安田泰幸スケッチ教室土曜クラスの2月の講座は、京都岡崎の府立図書館を描いた。ウィ-ンやパリの街のような雰囲気の建物と冬枯れの街路樹が素敵で、ここでは何度も描いている。建物は京都大学工学部建築学科を創立し、「関西の建築界の父」とも呼ばれる武田五一の設計で1902年に竣工した旧本館の外壁を保存し、新しく建て直されたもの。金色に見えるタイルで外壁を縁取りしたデザインはセセッション風で建物を魅力的にしている。寒い日のスケッチということで、竹ペンで、大胆に描いてもらうようにした。墨が落ちたりかすれたり、はたまた歪んだり、思うように線が引けず、かえって思い切った線が描けて、楽しい。 2012/5/17記