YASUDA YASUYUKI

水彩画スケッチ紀行

安田泰幸アート&スケッチ

近代名建築物語                                   02 

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近代名建築物語
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東京 慶応義塾大学 三田演説館          水彩スケッチ  2006年  ポストカードサイズ 120x165mm 
東京三田の慶応義塾大学のキャンパスには2つの国指定重要文化財の建物がある。一つは図書館旧館で、もう一つがこの演説館である。1875年に福沢諭吉が資金を出して建てられた、日本最初の演説用の講堂である。内部は中央前方にそう高くない演壇があり、その前に聴衆席があり、三方の壁に沿って手すりのついた2階席がある。平面や構造はアメリカの会堂を参考に建てられているが、屋根の桟瓦やなまこ壁など和風の外観がユニーク。秋の休日スケッチしていると、ぎんなんがぽとりぽとりと落ちてきた。  2011/10/25記
                               
銀座 和光 旧服部時計店          水彩スケッチ  2003年  ポストカードサイズ 120x165mm
東京銀座4丁目の角にある時計塔のあるビルは、1932年服部時計店ビルとして竣工した。設計は東京国立博物館や横浜のホテルニューグランドを手がけた渡辺仁。戦後、進駐軍に接収され、P.X.(Post Exchange/基地内売店)として、使用されていた。1952年から和光として営業。時計、宝石貴金属、陶磁器、バッグなど高級装飾品を扱う店として、有名人もよく利用するとか。経済産業省の近代化産業遺産に選定されている。  2011/10/24記
東京王子飛鳥山 晩香廬          水彩スケッチ  2003年 ポストカードサイズ120x166mm
東京王子の飛鳥山は、第一国立銀行を設立した実業家渋沢栄一の邸宅があったところで、ここに、清水組(現清水建設)の清水満之助が渋沢の喜寿の祝いに贈った建物「晩香廬」が残っている。清水組の技師長であった田辺淳吉が設計したもの。田辺は東京帝国大学建築学科に入学。早稲田大学大隈講堂の設計をした佐藤功一とは同期で、深い親交があった。また清水組に入った後、渋沢栄一を代表とする渡米実業団について、アメリカを巡り、オーストリアやドイツにも足をのばして、当時流行していたセセッションの建築に触れている。このスケッチは、お世話になっている建築家Mさんから、2004年にふくやま美術館で開催された福山出身の建築家武田五一・田辺淳吉・藤井厚二の展覧会のアートグッズとしてポストカードを頼まれたときに描いたもの。  2011/10/20記

「武田五一・田辺淳吉・藤井厚二−日本を意匠した近代建築家たち」ポストカード集に所収
                               
東京丸の内 明治生命館          水彩スケッチ  2004年 ポストカードサイズ120x160mm
昨日のこの欄で早稲田大学大隈記念講堂を掲載したが、続いて、しばらくの間、東京にある近代の名建築を掲載してみたい。まず丸の内にある明治生命館。大阪の中央公会堂を設計した岡田信一郎が設計競技で選ばれ、大隈講堂と同じ内藤多仲が構造設計を担当。1934年に竣工した。戦後はGHQに接収され、アメリカ極東空軍司令部として使用されていたことは、よく知られている。国の重要文化財。10本の巨大なコリント式の石柱が重厚で古典的な印象を醸しだしている。 2011/10/19記        
                           
早稲田大学大隈記念講堂          水彩スケッチ  2007年 ポストカードサイズ120x1465mm
パナソニック電工の2011年卓上カレンダー「松下幸之助の言葉-情熱」の10月には、大隈重信ゆかりの早稲田大学大隈記念講堂を選んだ。「心の成長に終わりはない」という言葉にに対し、大臣や首相を歴任、早稲田大学を設立した大隈重信が、人生125歳説を唱え、近代国家建設に挑戦し続けたことによる。大隈は人は25歳を5回生きる能力があると言っていたという。早稲田にとって125という数字は意味のあるものらしく、この大隈講堂の時計塔は高さ125尺(約38m)であり、2007年には創立125周年の記念式典が行われたとか。 ちなみに大隈講堂の設計は、佐藤功一と佐藤武夫。構造設計はのちに通天閣や東京タワーを設計した内藤多仲が行っている。国の重要文化財に指定されている。  2011/10/18記
        
■パナソニック電工2011年卓上カレンダー「松下幸之助の言葉-情熱」10月
に掲載
                               
神戸北野 トア・ホテル           水彩スケッチ  2011年 ポストカードサイズ120x165mm 
このメルヘン調の建物は、かつてスエズ以東で最高のホテルと評されたトア・ホテルで、現在は存在しない。北野の、現在、神戸外国倶楽部がある場所にあった。元町旧外国人居留地に下る坂道トア・ロードの語源になったといわれる。下田菊太郎という当時新進気鋭の建築家の設計で、当時めずらしかった全室バス・トイレつきであった。戦後進駐軍の管理下にあるとき失火で焼失した。著書「神戸街角ものがたり」のために、人工着色いわゆる人着がほどこされた古い絵葉書を資料に描いたもので、現在個展で展示中。  2011/10/4記
■著書「神戸街角ものがたり」(神戸新聞総合出版センター刊)に所収

京都東山清水寺門前 Cafe五龍閣          水彩スケッチ 2011年  ポストカードサイズ120x154mm 
6月の街・旅・絵日記講座は、京都の東山、高台寺あたりを歩いた。高台寺道で描いたあと、二年坂、産寧坂を通り、講評会の場所へ。清水寺門前にあるカフェ五龍閣。明治時代清水焼の技術を利用して義歯や碍子などを造り財をなした実業家松風嘉定が武田五一の設計で建てた邸宅で、国の登録有形文化財。最近まで湯豆腐の順正の店だった。順正のプロデュースでこの一画をリニューアルして湯豆腐のおかべ家や土産物屋とともにカフェとしてオープンした。入る前にスケッチ。建物の前で記念撮影。講評会は丸い大きなテーブルで豆腐デザートとお茶で。  2011/9/3記            
奈良女子大学 旧奈良女子師範学校旧本館           水彩スケッチ 2011年  280x380mm
7月9日、カンカン照りの奈良。カルチャーハウス香里ヶ丘の「安田泰幸スケッチ教室」は奈良女子大。旧奈良女子師範学校の木造本館は1909年竣工、重要文化財に指定されている。数年前にここでスケッチの講座をさせてもらおうと、大学のほうに許可をとってもらって、当日行ってみると、聞いていないと守衛に入場を拒まれたことがある。許可をとっているからと守衛に談判したが聞き入れてもらえず、結局しかたなく、その日は国立奈良博物館を描いた。今回も許可をとってもらっていたが、講演会か何かイベントが行われていたのだろうか、だれでもフリーパスでキャンパスに入っていく。拍子ぬけ。本館は30数年前、大学生の頃にも描いたことがある。その頃、高校の同級生の女子にモデルになってもらって、ここで大学の写真実習の課題の撮影したことも…。思い出の場所だ。さて、受講のみなさんだが、暑さに音をあげながらも力作ができていた。 2011/8/24記                                    

                      
              
大阪築港 天満屋ビル          ポストカード水彩スケッチ 2011年  120x165mm 
関西経済連合会発行の「経済人」-スケッチ紀行・歴史を歩く-8月号は大阪港天保山を歩いた。4枚目は1936年に建てられた天満屋回漕店の建物。土地柄と商売柄、船のキャビンを想わせる外観のデザイン。局面に嵌められた大きな窓とスクラッチタイルの壁が印象的。かつては荷役や船舶関係の商品を扱うこのような店が軒を並べていたのだろう。高度成長期に地下水の汲み上げで、地盤沈下が激しく、当初3階建だったビルは、1階部分の半分以上が道路面より低くなり、2階へ直接入る階段の入口が設けられている。現在は、洒落たカフェとアクセサリーの店が入っている。  2011/8/11記

■関西経済連合会発行「経済人」8月号表紙に掲載
                      
              
倉吉魚町 旧第三銀行倉吉支店          ポストカード水彩スケッチ  2011年  120mmx165mm
鳥取県倉吉へ来て、玉川沿いの白壁土蔵群を描いたあと、細い掘割のような玉川づたいに東のほうへ歩く。小さな橋をわたって南へ一本隔てた道の角に、擬洋風の建物があった。明治の終りに、銀行として大工の棟梁の設計で建てられたもので、今はカフェとコミュニティスペースに使われているようだ。国の登録有形文化財になっている。少し寒くなってきたが、角の電柱にもたれてスケッチしていると、同年代の男の人が話しかけてきた。地元でギターを使ってコンサート活動をやっているという。お互いにがんばろと言って去っていった。 2011/7/4記
■関西経済連合会刊「経済人」6月号表紙に掲載 
                     
神戸文学館         ポストカード水彩スケッチ  2011年  120mmx165mm
6月だというのに強烈な陽射しと、蒸せるような湿気。猛暑日だそうである。神戸市灘区の王子公園横にある神戸文学館で、「スケッチ紀行ー神戸街角ものがたり原画展」がはじまった。新聞を見たり、情報紙を見たりして、見に来てくださる方もいる。著名な文学に登場する神戸の街角と、スケッチと見較べることができる、今回の展示も興味深い。 2011/7/1記             
 
神戸市文学館 旧関西学院ブランチメモリアルチャペル          ポストカード水彩スケッチ 2011年 120x165mm
神戸の王子公園のあたりには、学生の頃からよく来たものです。兵庫県立美術館があって、大きな展覧会が時折開かれていたからです。神戸に住むようになってからは、子どもをつれて王子動物園に来てました。この動物園横の、関学発祥の地に煉瓦造りの礼拝堂が残っています。現在関学のキャンパスは西宮の上ヶ原、阪急宝塚線甲東園駅から丘を登ったところにありますが、創立の頃は灘区にあったんですね。イギリス人建築家ウィグノールの設計で、100年前の1904年に竣工しました。国の登録有形文化財になっています。今月6月の末から7月12日まで、新刊「神戸街角ものがたり」の原画を、原画を描いた場所を描写している有名な文学作品と一緒に展示していただくことになりました。ちょっとおこがましいですが…。7月2日土曜日には神戸の街とスケッチについてお話もさせていただきます。  2011/6/9記
旧グッゲンハイム邸 神戸塩屋     ポストカード水彩スケッチ 2007年 120x165mm
今月発売された「神戸街角ものがたり」が、ベストセラーのランクを店頭に張り出しておられる神戸垂水区のある書店で7位に入っていたそうです。垂水区のみなさんありがとうございます。その「神戸街角ものがたり」に収録されているスケッチの中から1枚。塩屋にある20世紀初めに建てられた異人館です。神戸で活躍したドイツ人貿易商グッゲンハイムが建てた住宅で、設計は重要文化財旧ハッサム住宅を手掛けたA.N.ハンセルといわれています。長年社員寮として使われ、震災後は傷みも激しく、取り壊しが危惧されていましたが、地元に住むステンドグラス作家が購入され、丁寧に修復されました。2007年秋、クラブTAPの企画でここをお借りして、スケッチ講座と講演会をさせていただいたことがあります。2011/4/14記                                
■「神戸街角ものがたり」に掲載
東京王子飛鳥山 青渕文庫            水彩スケッチ  2003年 ポストカードサイズ120x166mm 
第一国立銀行を設立した実業家渋沢栄一の邸宅があった東京王子の飛鳥山に、渋沢史料館がある。ここには、昨日掲載した「晩香廬」のほかにもう1棟重要文化財に指定されている近代建築がある。渋沢栄一の傘寿と子爵になった祝いに竜門社(今の渋沢栄一記念財団)から贈られた「青淵文庫」である。当初は渋沢が収集した論語関係の書籍を収蔵する予定であったが、関東大震災でそれらが焼失してしまい、実際には迎賓館として使われたという。設計は晩香廬を設計した田辺淳吉が恩師の中村達太郎と設立した中村田辺建築事務所で、1925年に竣工している。。晩香廬は建築だけでなく内部の調度品のデザインがすばらしかったが、この建物の内部はステンドグラスから差し込む光と、斬新な空間が印象的だった。
旧ハンター住宅 神戸王子公園              水彩スケッチ  2010年 164x238mm
日立造船のカレンダーに掲載していただいている旧ハンター住宅のスケッチです。日立造船の前身、大阪鉄工所を創業した、E.H.ハンターが神戸北野で住んだ邸宅です。現存する神戸の異人館の中では最大級のもので、幾何学模様の窓の意匠など完成度の高い異人館の傑作として重要文化財に指定されています。この建物があったところは、いま彼の名をとってハンター坂と呼ばれています。2011/3/28記
■日立造船2011年カレンダーに掲載
                                                                  

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旧トーマス邸 神戸北野            水彩スケッチ  1997年  158x203mm
神戸の北野にある風見鶏の館、旧トーマス邸である。明治時代の終わり頃、海岸通りに建てられた当時の画期的な建築オリエンタルホテルを設計した、ドイツ人建築家G.デ・ラランデの設計になる異人館だ。横浜や神戸で活躍した貿易商ゴットフリート・トーマスの邸宅であった。30年以上前のNHK連続テレビ小説で有名になった。この10月から月1回、12月まで計3回の特別講座が、NHK文化センターで開かれる。現地集合の水彩スケッチ講座で、1回目が北野の予定。 2011/9/12記          
■著書「神戸・街ものがたり」(1997。駿台曜々社刊)に所収   

■パナソニック電工2010卓上カレンダー「松下幸之助の言葉−志」に掲載
■著書「神戸街角ものがたり」(2011.神戸新聞出版センター刊)に所収